起業の適齢期より大切な、副業で撤退できる状態を残すこと
起業の話では、若いうちに始めるべきか、経験を積んでから独立すべきかがよく争点になりますが、年齢だけで決めると、もっと重要な条件が抜け落ちがち。
失敗したとき、生活をどこまで元へ戻せるか。
帝国データバンクの集計では、2025年に新設された法人の代表者は50代が26.6%を占め、7年連続で割合が上昇し、60歳以上も20.5%に達する一方、20代以下はたったの5%。
起業は若い人だけの選択ではなくなってきており、中高年には、業界経験、顧客との関係、専門知識があります。
しかし、その半面、教育費や住宅ローンなど固定的な支出を抱えやすく、会社を辞めて収入を一度に失う負担は大きくなります。
若い人には体力や再挑戦できる時間がありますが、経験や取引先はまだ少なく、年齢によって、有利な点と失敗時の損失が入れ替わります。
そこで意味を持つのが、本業を残したまま小さく事業を始める方法で、経営学の「リアルオプション」は、先の読めない状況で最初から全てを決めず、後から選べる余地を残すことに価値があると考えます。
副業なら、需要がなければ本業を続け、手応えがあれば時間や投資額を増やすことができます。
試す内容も、最初から法人設立や店舗契約である必要はありませんし、有料で依頼を受けられるか、同じ顧客から再注文があるか、使った時間に見合う利益が残るか。
まず確かめるべきなのは、肩書ではなく取引が続く条件となってきます。
AIツールによって資料作成や経理などの負担を減らせても、顧客がいることや収支が合うことまでは保証されませんし、業務を一人で回しやすくなることと、事業が成立することは別です。
「起業できる年齢か」より、「半年試して合わなければ戻れるか」を考え、副業から始める価値は、収入を二つに増やすこと以上に、撤退できる状態のまま市場を試せる点にあります。

